課長からのプレゼント

今日の3時半、僕は一心不乱にパソコンの画面に向かい、プログラムと格闘していた。
そんないつもの昼下がりの職場で、課長がはだしぬけに、
「おう、夏草、おまえにプレゼントがある。」と言った。


課長からプレゼント? 一体なんだろう?
課長から貰うプレゼントなど経験がなかったので、
期待と不安を同時に感じながら課長の席の方に向かった。
なにか仕事を頼まれるのかなとも思った。


すると課長はおもむろに財布を取り出し、その中を探り始めた。
財布の中の万札がちらりと見えた。
「え、現金をくれるのか?」僕はそう思った。
そしてなんと課長はそのなかから一枚を引っ張り出すとスッと僕の方に差し出した。


「そんな、現金なんて頂けません!」
思わずそう言いそうになった。だが課長が僕に手渡そうとした、
ちょっと黄色がかった紙は空港のレストランでの食事券だった。
僕が今週末、出張に行くのでそれを渡してくれたのだ。


「そんな、現金なんて頂けません!」って言葉を口にださなくてよかった。
そんなことあるわけないもんね。
課長にとっては何気ない行動であったろうが、
僕はその課長の無意識の行動に大いに心をかき乱されてしまった。


課長も罪だなー。
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