整理整頓が生み出す快適な生活

「整理整頓」って言葉は好きではなかった。
おそらく、子供のころに「ちゃんとかたづけなさい!!」と
叱られてばっかりだったからだろう。


だから、大学生になって一人暮らしを始めた時に嬉しかったことは、
部屋を散らかしたままでも何も言われないこと。
その一人暮らしの嬉しさを確認するために、
本やら雑誌やら洗濯済みのパンツやらを部屋中に乱雑に散りばめ、
その風景を楽しんでいた。


それから約10年。
今この瞬間、僕の部屋は今とても整理されている。
本棚から飛び出ている本はわずかに2冊のみ(入眠用)である。
きっかけは半年前に数冊のトヨタに関する本を読んだこと。


トヨタがどんな取り組みをしているのか、どんな工夫をしているのか等、
興味深い内容が多かった。工場内部をすべて白にしていることや、
本当の原因を追求する真摯な姿勢など、印象に残る話が多かった。


その中でもとりわけ僕の印象に残ったのが、「整理整頓」を徹底するという話だった。
物を探すということは時間の無駄だから、その無駄を失くすためと、
誰でも間違わずに作業をこなすために「整理整頓」に対してエネルギーを注いでいた。


トヨタは物を探す時間を完全に0にすることを本気で目指していると感じた。
僕はまず、「整理整頓」に対してそこまで情熱を傾けること自体に驚きを覚え、
自分の仕事を振り返り、ものを探す時間が多いことを反省した。


あの書類どこにやったっけなーと言いながら、
机の上を引っ掻き回すことは僕の日常になっていた。
トヨタの工場ではこのような行為は絶対に許されないだろうなと思った。
そこで僕も遅ればせながら「整理整頓」という、幼稚園のころから
言われている基本に立ち返って、「整理整頓」を常日頃意識するようにした


それから半年経ったわけだが、
現在は「整理整頓」がなされている状態が
快適だということを知っている。
実感としては、生活全般ががとても快適になったと感じている。
思い浮かんだことをすぐに実行に移せる状況にあるからだろう。


例えば、今日は11時までゆっくり寝ていたが、
布団のなかでボーっとしながら、
今日の昼はペペロンチーノが食べたいと思った。
半年前なら、台所の流しに溜まってる皿や、
汚れたままになっているフライパンを思い浮かべ、
「まず片付けなきゃいかんなーー。めんどくせーな。どうしようかな?」
としばらく悩み、挙句の果ては香ばしいペペロンチーノを
断念することも大いにありうる状況だった。


しかし、今日は便所に立ったついでに、
早速お湯をわかし、布団を上げた後、
ニンニクを炒め、11時半には音楽を聴きながら
ブロッコリー入りのうまいペペロンチーノを食べていた。


この快適な状況を生み出しているのは、間違いなく「整理整頓」のおかげだ。