ローソンの店員さんとの堅い絆

ローソンにはロッピーというチケットやCD等を予約販売するシステムがある。
日曜日の夕方、僕は始めてそのシステムの画面に触った。
そこにはまず、チケットやCD、本といった大きな項目を選択する画面が現れる。
そこで僕はDVDの項目を選択。次に探したのは「す」で始まるDVDのページ。


「す」ではじめるDVDといえば、「水曜どうでしょう」しかない。
そう、僕はとうとう「水曜どうでしょう」のDVDを購入する決心をしちゃったのだ。。
決して安くはありません。4179円のDVDです。豚丼とサラダと味噌汁が
10回も食べられる値段だ。だけど、僕は一週間ほど悩んだ末に思い切って
水曜どうでしょうベトナム編」を買う決心をした。


ロッピーの予約システムで購入を決定すると、確認の紙が出てくる。
それをローソンのカウンターに持っていって、支払いを済ませると
すべての手続きが完了のはずなのだが、初めてだったので、
本当にそのような手順で間違いがないのか、多少不安を持っていた。
若い男性の店員にその紙を渡した。


店員は慣れた手付きで、紙に印刷されたバーコードを読みとり、
次に紙の内容に目をやり内容の確認をしているようであった。
ところが、紙の中ほどに目を通していた時、ふとそれまでの一連の
流れるような動作がストップしてしまった。


「なんか操作を間違ったかな〜」と不安にさせられた。
そして店員が顔を上げて僕に言いました。
「僕も水曜どうでしょう、持っていますよ!」
この瞬間店員の顔に笑顔が浮かんでいた。


僕よりも少し若い、がっしりとした体躯の持ち主の肩をバンバンと叩いて
ついでに握手をしたい気持ちに駆られてしまった。
「おお! ここにも我が同胞がいたのか!!」という気持ちだった。
おそらく相手もそうだったのだろう。
あの独特の笑いを理解できる者同士の堅い絆がそこにはあった。


「何を持っているのですか?」と聞いてみたところ、
自信に満ちた声で「全部です」という返事が返ってきた。
「これはこれは、師匠。失礼致しました。
 ぜひ私にDVDを貸して頂けないでしょうか?」
という言葉を発したくなってしまったが、そこはぐっとこらえた。
店員と客という立場でなければ、大泉洋について語り合いたかった。


僕が紙を渡してから店を出るまで1分くらいの出来事であったが、
心温まるできごとであった。おそらく他の客や店員には
見えなかった絆が確かにそこにあった。