朝焼けとモダン猫

眠い目をこすりながら外を見ると、
ここ数年来見ていないほどのあざやかな朝焼けだった。
すぐにカメラを持って外に出た。
しかし、カメラを構え画像を見ると、下の方に
人工物が写り込むことが判明した。


せっかくだから綺麗な写真を撮ろうと、
電線や建物が写りこまない場所を探して近所を走り回った。
最終的には息を切らせながら、近所の小高い丘に上がったのだが、
そのときには美しい朝焼けは、既に魅力を半減させていた。
シャッターを切ろうとも思わないほどに。


「これだったら電源とメモリの無駄だ」とつぶやいて、
朝の労力が無駄に終わってしまった悔しさをかみしめていた。
電線が写りこんでも良かったから何枚か撮っておくべきだった。
朝から散々走り回ったのに残念。


全くカメラを使わずに家に帰りつくと、
自分のバカさ加減が自分でも可愛そうになるので、
帰りの道で無理やり被写体を求めた。


そして、穴だらけのモダンな家の壁から、
猫がひょいと顔を出した。


朝焼けの替わりに、僕の腹いせの対象になったモダン猫です。