急襲作戦の結果報告書

独身だから我が家にほとんど人は訪ねて来ない。
それでもたまには人が来ることもある。


休日に比較的よく来る人々には2種がある。
一つは僕を宗教という深遠な世界へと誘うのが目的の人。
もう一つは僕に荷物を届けるのが目的の人。


実はこの2種類の人は玄関を開ける前に、
どちらかをある程度予想することができる。
宗教勧誘人の特徴は僕が玄関を開けるまで
気配を消すように努めていることである。


玄関の周辺で人の足音が聞こえないまま、
不意に呼び出しのチャイムがなり、
部屋の中から外に向かって声をかけても、
反応がないか、かぼそい声が返ってくると
ほぼ間違いなく宗教勧誘の人。


逆に荷物を届けてくれる人は気配がむき出しである。
チャイムならす前からバイクのやトラックの音がし、
さらに足音も「タッタッタ」という軽快で、
気合の入った人なら、息まで聞こえてくる。
当然、声をかけると、「お届けものでーす。」という
返事が返ってくる。


先週の日曜日は気配を消すのが得意の人がやって来た。
珍しくチャイムを鳴らす前からその存在に気がついた僕は、
どうやって早くお帰り頂くかすばやく考えた。


その日は朝から近所を走った直後であり、
テンションが高かったので、思いついた作戦は名づけて
「元気はつらつ幸福砲火一斉発射による急襲作戦!!」


作戦経過報告


1.チャイムを合図に近所に鳴り響く大音量で「ハイ!」と返事する。
2.返事をした直後に「椅子」から立ち上がり、「ドン」という
 足音と共に一歩目を力強く踏み出す。
3.一歩目を踏み出した0.1秒後に「おはようございます!」と
 玄関に向かって叫ぶ。
4.声にかぶせるようにさらに足音を「ドンドン」と響かせながら約2秒で
 玄関まで到達する。
5.「ご用件はなんでしょうか?」といいながら全速力で玄関を開ける。
6.そしてが相手宗教の人であることを確認して満面の笑みで、
 「なんでしょうか?」と小学1年生のように元気よく問いかける。


実行した作戦は単にこれだけだったが実に効果的であった。
向こうから理由をつけて引き上げてくれたのだ。


「お顔を洗っている途中だったのですね。
 お忙しいところすみません、また機会があれば。。。。。」
ということであった。


朝から走ったので、汗をかいていたのだが、
それが水滴に見えたのであろうか?
相手はこちらの勢いが常軌を逸していたことを警戒したのだろうが
作戦成功ということで、ここに報告させて頂く次第。


作戦の要点は「勢い」です。