はじめてのエニグマ

エニグマ・コード―史上最大の暗号戦 (INSIDE HISTORIES)

これは第二次世界大戦でドイツが用いた
エニグマという暗号の解読にまつわるドキュメント。
500ページほどもある分厚い本。


年度末の忙しさもひと段落したのでこれを読んだ。
久しぶりに寝るのも忘れるほど没頭できた本だった。
夕方の5時位から読み始め、夕食を挟んでさらに読み進め、
ふと気がついた時には午前2時半近くだった。
その時点で一応中断して寝たが、面白い本だった。


僕にとって意外だったのは、
エニグマコードを最初に解読していたのはポーランドだったこと。
これまでてっきりチューリングら、イギリスの情報局が
最初に解読していたのかと思っていた。
もっとポーランド人の努力が知られていてしかるべしと思う。


それから、イギリスは単に暗号の情報処理をうまくするだけでなく、
エニグマの暗号を解読するために、暗号に関する文書や暗号機を
奪うための強襲作戦を実際に実施していたのだとうこと。


そしてエニグマの暗号を解読できていることを悟られないように
最新の注意を払いながら様々な作戦を実施していたこと。


エニグマに関するドイツの情報をフランスに渡したいわゆる
スパイというものが実際に存在したこと。


エニグマを破る糸口はドイツ側の暗号機の運用者の気の緩み。
例えば、気象情報を毎回同じ文面で同じ時刻に送っていたこと等。
これらが解読する方にとって重要な情報を与えることになった。


この本の様々なエピソードの一つ一つが映画にできそうな話であり、
本当に実際に過去に起こったことであることが信じられないような気がする。


戦争において相手の情報を盗る、もしくは機密を守るということは
本当に戦局を大きく左右するほど重要であり、
エネルギーを費やすことなのだなと実感できる。


最後に印象的であったのが、戦勝国が戦後、エニグマの暗号機を
植民地の人々に使わせたということだ。
もちろん、エニグマ暗号を自由に解読して、自国に必要な情報を盗るためだ。
アメリカ、イギリスは抜け目のない国だと思った。


同じことをやりたいと考えている人々が現在でもアメリカに
いると考えておいた方が自然なのだろうな。
インターネットに関するセキュリティー技術なんてのもあるけど、
本当のところはわからないよな。
情報を盗る方は、盗ったことがばれない様にするのが常套手段だもんね。